教育と心理カウンセリング
- 髙田蓮

- 2024年12月9日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年12月22日
心が健康なら勉強は捗る ~わたしの教育への道のり~
わたしは生まれつき自律神経が脆弱で、保育園から高校生にかけて遅刻や欠席が多く、不登校だった時期もありました。不登校になった明確な理由はなく、「明日の自由研究の発表が不安」「友達とうまく馴染めない」といった小さな要因はあったものの、冗談を言って友達を笑わせたり、クラスで歌を披露したりと、人前で活躍する場面もあったため、不登校に値するほどの理由とは思えませんでした。
大学生のとき、特に不幸なことがあったわけでもないのに、体調が悪く普通に生活するだけでもつらい時期がありました。そのとき、「この不安や体調不良の正体は何なのだろう」と自問し、サラリーマン生活が合わず適応障害になった経験をきっかけに、関連書籍を読み漁りました。するとどうやらこの不安感は自律神経が関係しており、対処できるものかもしれないと思い、心理カウンセリングに興味を持つようになりました。「公認心理師になれば、自分が生きていくための知識を得られる。そして同じように苦しんでいる人の助けになりたい。」そう考え、放送大学の心理演習受講のための試験に挑みました。
倍率は30倍と簡単な試験ではなく、20冊以上の教科書を暗記して臨みました。幸運にも合格し、心理学の実践的な授業を受けることができました。特に「自他を分けて、相手の価値観で話を聞く」というカウンセリングの基本を、演習や実習で何度も訓練したことが印象的です。
教育への転身
では、なぜ心理カウンセリングから教育に舵を切ったのか。それは、日本では心理カウンセリングを利用する文化がまだ十分に定着しておらず、貢献できる機会が少ないと感じたからです。実際に「カウンセリングはただ話を聞くだけ」といった意見も多く、心理の知識や技術を十分に活かしきれない現状がありました。
そこで、より実践的で需要の高い分野、特に自分の得意分野である英語教育に目を向けました。日本の学校教育では、労働環境の影響もあって、一方的で退屈な授業が行われがちです。しかし、心理カウンセリングのノウハウを活かした個別指導であれば、生徒の充実感を高めつつ成績向上を見込めるのではないかと考えました。
すぐに家庭教師や大手個別指導塾での指導を始め、不登校生徒には心理的なアプローチを、心の状態が安定している生徒には各々の興味を中心に授業を行いました。その結果、すべての生徒の成績が向上しました。その伸び具合にはもちろん個人差がありましたが、保護者様とその生徒からの感謝の気持ちは一貫して多く頂いたように思います。
一部の保護者からは「能力以上の課題を与えないやり方」への反発もありましたが、子どもの人生を考えると、「今を楽しみ、少しずつ前向きに進む」という方法が最善だと確信しています。自律神経が弱い子ども、発達障害がある子どもが存在する中で、無理な課題は心を壊し、成長するにつれてその歪みは大きくなります。いくら勉強ができてもそれでは元も子もありません。
「今、ここ」に集中する教育
興味深いことに、生徒の価値観や個性に寄り添った「今、ここ」に集中し、勉強を楽しむ方法を実践していると、生徒の方から「宿題をもっと出してほしい」と要求されることが多くなります。主体的に取り組む楽しさを覚えると、自分から勉強したくなるのです。私が勉強を強制することはありませんが、結果的に成績優秀者になる生徒が多いのは驚きです。
このような実践を通じて、私が提唱する「心が健康なら、勉強は捗る」という信念が現実のものとなっていると感じます。生徒一人ひとりの心に寄り添いながら、学びの楽しさと成績向上を両立させる教育を、これからも続けていきたいと思います。

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